トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
女性は、すべてを託すように録音データを事務所のパソコンへと提出してくれた

スマートフォンの画面を操作し、データを移し替えるわずかな時間の間も。彼女の指先は、ずっと強張ったように緊張で細かく震え続けていた

それでも、彼女は最後まで視線をそらさず、逃げ出すこともしなかった

自分の行動の重さをすべて引き受けようとする、本当に強い人だと思った

やがて、すべてのデータ移行が完了する

社長がデスクのモニターに向かい、一つずつ慎重に内容を確認していく

記録された正確な録音日時

男と女の生々しい対話が刻まれた音声データ

それらを保護するための、幾重ものバックアップ

チェックすべき要素は、そのすべてが完璧に揃っていた

これが法的証拠としてどれほどの効力を持つか、最終的な判断はプロである弁護士チームに委ねられることになるだろう

けれど、少なくとも昨日までの暗闇とは根底から違う

俺たちは初めて、この地獄を切り裂くための、明確で強固な糸口を手に入れたんだ

役目を終えた女性が、ゆっくりと席から立ち上がった

「……もし、必要であれば」

まだ少しだけ怯えを孕んだ声で、けれど彼女は真っ直ぐに俺たちを見つめて言った

「私……裁判での証言も、進んでさせていただきます」

一瞬、会議室の空気がシンと静まり返る

その言葉の持つあまりにも重いリスクに、黒瀬さんが思わず顔を上げた

「……それが、どういう意味か分かっていますか」

それは、いつになく優しく、諭すような声だった

彼女のこれからの人生を、心から心配し、確認するような眼差し

女性は、迷うことなくしっかりと頷いてみせた

「はい。会社を辞めることになるかもしれませんし、下を向いて生きることになるかもしれない。裏切り者だと、逆に訴えられるかもしれません」

そこで彼女は、涙の残る顔でふっと誇らしげに少しだけ笑った

「でも……今度は私が、私の人生を救ってくれた大好きな人たちを、助けたいんです」

そのあまりにも真っ直ぐで、無償の愛に満ちた言葉に、俺は激しく胸を打たれた

隣の蒼依は、もう今にも決壊しそうなほど目を真っ赤にして泣きそうな顔をしている

優朔も、言葉を失ったように深く黙り込んでいた
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