トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
俺たちは、その足で迷うことなく病院へと向かった

深夜の都内を滑るように走る車の中

そこには、ここ数日間ずっと俺たちの胸を圧迫していた重苦しい沈黙ではなく、どこか静かで、けれど確かに熱を帯びた、いつもとは違う空気が流れていた

もちろん、まだ何一つ具体的な決着がついたわけじゃない

あの汚い大人の陰謀が暴かれただけで、裁判も、民事の訴訟も、山積みにされた課題は何も終わっていない

世間の容赦のない冷たい目だって、今この瞬間は何一つ変わってはいない

それでも、今日という日だけは、決定的に違っていた

初めて、暗闇の向こうに本物の「希望」がその姿を現したんだ

だからだろうか。病院の駐車場に到着し、車を降りる俺たちの足取りは、昨日までとは比べものにならないくらいに軽かった

静まり返った夜間の病院へと入る

毎日のように通い詰めているせいで、夜勤の受付のスタッフもすっかり俺たちの顔を覚えてくれていた

「夜遅くにお疲れ様です。桜庭さんのお部屋ですね」

咎める風でもなく、いつも通りに優しい笑みで通してくれる

エレベーターに乗り込み、目的の階へと上がる。静まり返った病棟の廊下を進み、見慣れた病室のドアの前へと到着した

トントン、と軽くノックをする

「……奏、入るぞ」

俺は声をかけながら、静かに扉を開けた

室内の明かりは少し落とされており、奏はベッドの上ではなく、窓際の椅子に腰掛けて静かに外の夜景を眺めていた

その細い腕には今日も透明な点滴のチューブが繋がっている

けれど、連日の看病の甲斐あって、最初にここへ運ばれてきた頃よりずっと顔色が良かった

少しずつ肉の戻り始めた白い頬にも、じんわりと健康的な赤みが差し始めている
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