トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
2人でしみじみと大切な人への想いを噛み締めていた、まさにその時だった
静かな院内カフェのスピーカーから、空気を切り裂くような鋭いアナウンスが響き渡る
——ER(救急外来)への、ドクターヘリおよび救急隊からのホットライン
その瞬間、隣にいた梓の表情が、目にも留まらぬ速さで一瞬にして切り替わった
さっきまで恋する一人の女の子として柔らかくはにかんでいた顔が、一瞬にして、数々の修羅場をくぐり抜けてきた“救命センターのプロの看護師”のそれへと変貌する
私はその劇的な変化を特等席で見つめながら、誇らしさに胸を熱くして小さく笑った
「……行く?」
「うん」
梓は手早くフォークを置き、迷いのない動作で席から立ち上がる
そして、トレイを片付ける寸前、ふっと思い出したように私の方を振り返った。
「でもさ、紗凪」
「ん?」
「どれだけ大恋愛して頭を悩ませててもさ、いざとなったらこうやって完璧に最前線に立って命救ってる私たちって、冷静に考えて結構かっこよくない?」
そのあまりにも梓らしい、自信に満ちたつよがりな言葉に、私は少しだけ驚いて目を丸くしたあと、堪えきれずにクスッと声を上げて笑ってしまった
「……ふふ、確かに。間違いないね」
誰かを深く愛しているからといって、仕事が疎かになったり、弱くなったりするわけじゃない
むしろ、自分のすべてを無条件で受け止めてくれる大切な人があの家にいるからこそ、どんな過酷な現場にだって恐れずに飛び込んでいける強さになれる瞬間が、私たちには確かにあった
守りたいものが増えれば増えるほど、人はどこまでも強く、凛として前を向いて歩いていけるのかもしれない
梓は「じゃ、ER戻るね!」と、いつもの頼もしい足取りで軽く手を振ってみせる
「午後からもお互い、全力で戦場を回そ!」
「うん、また後でね」
私は彼女の潔い後ろ姿を誇らしく見送りながら、残ったコーヒーを飲み干して深く息を吐いた
大きな窓の向こう
どこまでも突き抜けるような青空の中を、一機の白いドクターヘリが、誰かの明日を繋ぐために力強く飛び立っていくのが見えた
命の最前線に立つ、過酷な仕事
一人の男の腕の中で、愛し愛される、甘い恋愛
どちらか一方を諦める必要なんてない
どっちの未来もその両手でしっかりと抱きしめて、泥臭く、全力で生きていく
そんな風に変化していくこれからの愛おしい未来を、今の私なら、ちゃんと心から愛せる気がしていた
静かな院内カフェのスピーカーから、空気を切り裂くような鋭いアナウンスが響き渡る
——ER(救急外来)への、ドクターヘリおよび救急隊からのホットライン
その瞬間、隣にいた梓の表情が、目にも留まらぬ速さで一瞬にして切り替わった
さっきまで恋する一人の女の子として柔らかくはにかんでいた顔が、一瞬にして、数々の修羅場をくぐり抜けてきた“救命センターのプロの看護師”のそれへと変貌する
私はその劇的な変化を特等席で見つめながら、誇らしさに胸を熱くして小さく笑った
「……行く?」
「うん」
梓は手早くフォークを置き、迷いのない動作で席から立ち上がる
そして、トレイを片付ける寸前、ふっと思い出したように私の方を振り返った。
「でもさ、紗凪」
「ん?」
「どれだけ大恋愛して頭を悩ませててもさ、いざとなったらこうやって完璧に最前線に立って命救ってる私たちって、冷静に考えて結構かっこよくない?」
そのあまりにも梓らしい、自信に満ちたつよがりな言葉に、私は少しだけ驚いて目を丸くしたあと、堪えきれずにクスッと声を上げて笑ってしまった
「……ふふ、確かに。間違いないね」
誰かを深く愛しているからといって、仕事が疎かになったり、弱くなったりするわけじゃない
むしろ、自分のすべてを無条件で受け止めてくれる大切な人があの家にいるからこそ、どんな過酷な現場にだって恐れずに飛び込んでいける強さになれる瞬間が、私たちには確かにあった
守りたいものが増えれば増えるほど、人はどこまでも強く、凛として前を向いて歩いていけるのかもしれない
梓は「じゃ、ER戻るね!」と、いつもの頼もしい足取りで軽く手を振ってみせる
「午後からもお互い、全力で戦場を回そ!」
「うん、また後でね」
私は彼女の潔い後ろ姿を誇らしく見送りながら、残ったコーヒーを飲み干して深く息を吐いた
大きな窓の向こう
どこまでも突き抜けるような青空の中を、一機の白いドクターヘリが、誰かの明日を繋ぐために力強く飛び立っていくのが見えた
命の最前線に立つ、過酷な仕事
一人の男の腕の中で、愛し愛される、甘い恋愛
どちらか一方を諦める必要なんてない
どっちの未来もその両手でしっかりと抱きしめて、泥臭く、全力で生きていく
そんな風に変化していくこれからの愛おしい未来を、今の私なら、ちゃんと心から愛せる気がしていた