トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
 ――優朔が地方ロケに出発する、前日の夜

私たちは、彼のリビングのソファで、どちらからともなく身体を寄せ合っていた

部屋の明かりを少し落とした薄暗がりの中、優朔の大きな手が私の髪を何度も優しく梳く

いつもならもっと悪戯っぽく笑ったりからかってきたりするのに、今夜の優朔はどこか静かで

私を片時も離したくないと言わんばかりに、強く抱きしめていた

「明日から、1ヶ月か……」

優朔が僕の首筋に顔を埋めたまま、低く零した

紗凪に背中を押してもらった私は、彼の背中にそっと手を回して、今度は素直な本音を口にする

「うん」

「…本当はね、すごく寂しいよ優朔が行っちゃうの、嫌だな」

「梓……」

「でも、ちゃんと待ってる優朔が一生懸命頑張るの、一番近くで応援したいから」

私が顔を上げて微笑むと、

優朔は愛おしそうに目元を歪め、私の額や頬に、何度も何度も愛おしむような優しいキスを落とした

「ありがと梓が待っててくれるなら、どんなに過酷なロケでも頑張れる」

「でも、向こうは電波が本当に繋がりにくいみたいで、連絡が遅くなっちゃうかもしれないそれだけがすごく心配で」

「大丈夫だよ私のスマホにも、優朔の『がんばってね』って言葉たくさん残ってるから」

「寂しくなったら、それをお守りにするね」

そう言うと、優朔は「本当に、僕の天使は強くて可愛いな」

と、切なそうに

だけど世界で一番甘い微笑みを浮かべた

「今日はもう、ずっとこうしてようね」

「明日、梓を置いていきたくなくなっちゃうくらい、僕の体温を全部覚えておいて」

その夜、私たちは迫り来る別れの時間を惜しむように、お互いの存在を何度も確かめ合いながら、静かで甘い夜を過ごした
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