トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
朝8時
インターホンが鳴る
一番最初に来たのは優朔だった
「おはよう」
そう言いながら入ってくる
でもその声にいつもの余裕はなくて
表情も硬い
続いて蒼依
そして最後に奏
玄関へ出た瞬間
俺は少し息を止めた
……ひどい顔だった
目の下の隈
血色の悪い顔
乱れた髪
普段の桜庭奏なら絶対に見せない姿
昨日から一睡もしていないのかもしれない
「奏」
声をかける
すると奏は力なく笑った
「おはようっす」
その笑顔が痛々しい
俺は何も言えなくなった
リビングへ移動する
誰も余計なことは言わない
いつもなら蒼依がふざけて
奏が茶化して
優朔が呆れて
そんな空気になるのに
今日は違う
全員が静かだった
テーブルを囲む
俺
優朔
蒼依
奏
それぞれ椅子へ腰掛ける
重い沈黙
空調の音だけが聞こえる
その時だった
「コーヒーできたよ」
キッチンから紗凪の声
全員がそちらを見る
紗凪は何も聞かない
何も言わない
ただ静かに全員の前へマグカップを置いていく
優朔にはブラック
蒼依には砂糖入り
奏にはカフェオレ
ちゃんと覚えているらしい
「ありがとうございます」
優朔が小さく頭を下げる
紗凪は柔らかく笑う
「無理に飲まなくてもいいですからね」
「少しでも飲めそうなら」
それだけ言って紗凪は少し離れたダイニングの端へ座る
会話には入らない
でもここにいる
それだけで空気が少し柔らかくなる
……本当にすごい人だ
俺はコーヒーへ手を伸ばす
温かい
でも何から話せばいい
記事はまだ出ていない
おそらく数十分後
出るのは確実だ
どう動く
どう守る
何を優先する
考えることが多すぎる
俺が口を開こうとした時
不意に
奏が俯いたまま呟いた
「……すみません」
全員の視線が集まる
奏はテーブルを見つめたまま続ける
「俺のせいで」
「全部」
「俺があの日、あの女と会わなかったら」
「こんなことにならなかった」
震える声
昨日より酷い
完全に自分を責めている
蒼依が苦しそうに顔を歪める
優朔も何も言えない
俺はゆっくり息を吐いた
ここで間違える訳にはいかない
今一番壊れそうなのは奏だ
俺は静かに言う
「奏」
返事はない
それでも続ける
「顔上げろ」
数秒
沈黙
やがて奏がゆっくり顔を上げる
目が赤かった
俺は真っ直ぐ見返す
「まず確認する」
静かな声で言った
「お前は本当にやってないんだな?」
部屋が静まる
奏は一瞬も迷わなかった
「やってない」
即答だった
「絶対に」
「誓ってやってない」
その目を見て
俺は頷く
「分かった」
そして
テーブルへ両肘をつく
「じゃあまずはそこからだ」
奏が目を見開く
優朔も蒼依も俺を見る
俺は全員を見渡した
「記事が出ることは止められない」
「でも」
「俺たちは事実まで変えられた訳じゃない」
静かに言う
「だからまず」
「その日のことを最初から最後まで話してくれ」
「何があった」
「どうしてホテルへ行った」
「何を見た」
「何を言われた」
「全部だ」
奏は唇を噛む
拳が震えている
それでも
数秒後
覚悟を決めたように顔を上げた
そして
小さく息を吸う
「……あの日」
その言葉から
全てが始まろうとしていた
インターホンが鳴る
一番最初に来たのは優朔だった
「おはよう」
そう言いながら入ってくる
でもその声にいつもの余裕はなくて
表情も硬い
続いて蒼依
そして最後に奏
玄関へ出た瞬間
俺は少し息を止めた
……ひどい顔だった
目の下の隈
血色の悪い顔
乱れた髪
普段の桜庭奏なら絶対に見せない姿
昨日から一睡もしていないのかもしれない
「奏」
声をかける
すると奏は力なく笑った
「おはようっす」
その笑顔が痛々しい
俺は何も言えなくなった
リビングへ移動する
誰も余計なことは言わない
いつもなら蒼依がふざけて
奏が茶化して
優朔が呆れて
そんな空気になるのに
今日は違う
全員が静かだった
テーブルを囲む
俺
優朔
蒼依
奏
それぞれ椅子へ腰掛ける
重い沈黙
空調の音だけが聞こえる
その時だった
「コーヒーできたよ」
キッチンから紗凪の声
全員がそちらを見る
紗凪は何も聞かない
何も言わない
ただ静かに全員の前へマグカップを置いていく
優朔にはブラック
蒼依には砂糖入り
奏にはカフェオレ
ちゃんと覚えているらしい
「ありがとうございます」
優朔が小さく頭を下げる
紗凪は柔らかく笑う
「無理に飲まなくてもいいですからね」
「少しでも飲めそうなら」
それだけ言って紗凪は少し離れたダイニングの端へ座る
会話には入らない
でもここにいる
それだけで空気が少し柔らかくなる
……本当にすごい人だ
俺はコーヒーへ手を伸ばす
温かい
でも何から話せばいい
記事はまだ出ていない
おそらく数十分後
出るのは確実だ
どう動く
どう守る
何を優先する
考えることが多すぎる
俺が口を開こうとした時
不意に
奏が俯いたまま呟いた
「……すみません」
全員の視線が集まる
奏はテーブルを見つめたまま続ける
「俺のせいで」
「全部」
「俺があの日、あの女と会わなかったら」
「こんなことにならなかった」
震える声
昨日より酷い
完全に自分を責めている
蒼依が苦しそうに顔を歪める
優朔も何も言えない
俺はゆっくり息を吐いた
ここで間違える訳にはいかない
今一番壊れそうなのは奏だ
俺は静かに言う
「奏」
返事はない
それでも続ける
「顔上げろ」
数秒
沈黙
やがて奏がゆっくり顔を上げる
目が赤かった
俺は真っ直ぐ見返す
「まず確認する」
静かな声で言った
「お前は本当にやってないんだな?」
部屋が静まる
奏は一瞬も迷わなかった
「やってない」
即答だった
「絶対に」
「誓ってやってない」
その目を見て
俺は頷く
「分かった」
そして
テーブルへ両肘をつく
「じゃあまずはそこからだ」
奏が目を見開く
優朔も蒼依も俺を見る
俺は全員を見渡した
「記事が出ることは止められない」
「でも」
「俺たちは事実まで変えられた訳じゃない」
静かに言う
「だからまず」
「その日のことを最初から最後まで話してくれ」
「何があった」
「どうしてホテルへ行った」
「何を見た」
「何を言われた」
「全部だ」
奏は唇を噛む
拳が震えている
それでも
数秒後
覚悟を決めたように顔を上げた
そして
小さく息を吸う
「……あの日」
その言葉から
全てが始まろうとしていた