お酒のせいにできない
口内を蹂躙する遼の舌が、淫靡な音を立てた。艶っぽい吐息と混ざり合い、ますます結菜から現実を遠のかせた。何も考えられない。何も考えたくない。ただ今は、経験したことのない快楽に浸っていたい。
限られた空間しかない密室の車内では、粘膜と粘膜が接触する水音がやけに響いて聞こえた。淫らな音は結菜の陶酔感を煽るばかりで。次第に意識が朦朧とし始める。遼の指が、唇が、舌が、結菜の身体を、感情を、理性を、とことんまで狂わせた。
酔い痴れるほど深い甘美なキスを何度も交わし、二人の吐息が絡まった。離れた舌が糸を引く。色の見えない黒の視界の中で、遼と目が合う。目の前が不明瞭でも、合っていると分かる。
遼の指が再び、更に濡れた結菜の唇の輪郭をなぞった。自然と反応してしまう結菜は、すっかり乱れてしまっていた。キスだけでくたくたになり、全く頭が回らない。遼に抱いている感情の正体も判然としない。
「橘」
目と鼻の先で、遼の低く落ち着いた柔らかい声がした。息の乱れた結菜と違って、遼の声にはいくらか余裕があった。結菜は返事ができず、代わりにこくりと唾を飲み、小さく息を吐く。力の入っていない結菜の唇を弄ぶ遼が、口を開く気配がする。
「これから一生、俺以外の男、選ばないでね」
平然と告げられた言葉は、押し潰されそうなほどに重たい言葉だった。思いつきの言葉でもなければ、昨日今日で作り上げられた言葉だとも思えなかった。
思わぬ告白にイエスもノーも言えないまま、結菜は遼に唇を甘噛みされ、舐められ、重ねられた。何一つ拒否できない結菜に、選択肢などなかった。
ふっと身体が軽くなる。両手と頬から遼の手がするりと離れ、結菜は完全自由の身となった。まだ覚めない夢の中にいるみたいなふわふわした気分のまま、座席に手をついて緩慢な動作で上体を起こす。遼に束縛されていた両手は熱を持ち、頬にも唇にも感覚が残っている。
「俺を受け入れたの、お酒のせいにしないでね」
限られた空間しかない密室の車内では、粘膜と粘膜が接触する水音がやけに響いて聞こえた。淫らな音は結菜の陶酔感を煽るばかりで。次第に意識が朦朧とし始める。遼の指が、唇が、舌が、結菜の身体を、感情を、理性を、とことんまで狂わせた。
酔い痴れるほど深い甘美なキスを何度も交わし、二人の吐息が絡まった。離れた舌が糸を引く。色の見えない黒の視界の中で、遼と目が合う。目の前が不明瞭でも、合っていると分かる。
遼の指が再び、更に濡れた結菜の唇の輪郭をなぞった。自然と反応してしまう結菜は、すっかり乱れてしまっていた。キスだけでくたくたになり、全く頭が回らない。遼に抱いている感情の正体も判然としない。
「橘」
目と鼻の先で、遼の低く落ち着いた柔らかい声がした。息の乱れた結菜と違って、遼の声にはいくらか余裕があった。結菜は返事ができず、代わりにこくりと唾を飲み、小さく息を吐く。力の入っていない結菜の唇を弄ぶ遼が、口を開く気配がする。
「これから一生、俺以外の男、選ばないでね」
平然と告げられた言葉は、押し潰されそうなほどに重たい言葉だった。思いつきの言葉でもなければ、昨日今日で作り上げられた言葉だとも思えなかった。
思わぬ告白にイエスもノーも言えないまま、結菜は遼に唇を甘噛みされ、舐められ、重ねられた。何一つ拒否できない結菜に、選択肢などなかった。
ふっと身体が軽くなる。両手と頬から遼の手がするりと離れ、結菜は完全自由の身となった。まだ覚めない夢の中にいるみたいなふわふわした気分のまま、座席に手をついて緩慢な動作で上体を起こす。遼に束縛されていた両手は熱を持ち、頬にも唇にも感覚が残っている。
「俺を受け入れたの、お酒のせいにしないでね」