別れてくれない?浮気性彼氏くん。

別れの潔白書

「あれ、伊桜里く〜ん?」


伊桜里の肩がビクッと跳ねた。


「愛歩ちゃん、あと1つ聞いていい?」


「もちろんです!乃慧先輩のお声を聞けるなんて幸せすぎて…」


「もう、それいいから…で、私ね、…伊桜里と付き合ってるの。愛歩ちゃんは、それ、知ってた?」


「……っ、え?」


この様子からして、伊桜里が何も言わずに、愛歩ちゃんに言い寄ったって感じで間違いないだろう。


「じゃあ、伊桜里、愛歩ちゃん、ありがとね、バイバイ」


「乃慧先輩……」


「じゃあ」


私がスカートを(ひるがえ)して、反対側の昇降口に向かったとき。


ーバチインッ!


「いった!?」


伊桜里の情けない声が聞こえた。


「先輩、最低です!別れてください!私とも、乃慧先輩ともっ!二度と、目の前に現れないでください!!」


後ろから、勢いのある足音が近づいてくる。


「乃慧先輩っ」


愛歩ちゃんが、私の腰に抱きついた。


「あんな男、さっさと別れちゃってくださいね!」


あんな男、か。


いつからだったんだろう。


今、私は知る(よし)もなかった。


愛歩ちゃんと、私の記念日と付き合っていた年月が、丸かぶりだったことなんて―――
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