お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 彼は今回の一件だけでなく、彼は以前から現場への過干渉や女性スタッフへの言動や距離感で問題視されていた人物だったらしい。露骨な女性の好みがあり、その基準で態度を変えることも珍しくなかったとか。

 あのあと里子から聞いた話だと、先輩も『ふん、今日のスタッフは色気がないな』というような言葉を向けられて、ひどく憤慨したそうだ。

 以前から要注意人物として見られていたという。


『ウエディング部門を顔を合わせるときは、俺にも声をかけてくれる? ちょっと気になる点がある』


 はる君が以前、私のことを気かけていたのも、そう言うことだったんだ。
 色んな所で停滞していた決裁も次々と通り、モデル選定はほぼ固まりつつあった。


 ◇◇◇
 

 シンガポールに到着したのは、現地時間のお昼を回ったころだった。

 チャンギ国際空港を出た瞬間、まとわりつくような湿った空気に包まれる。日本よりも濃い南国の熱気に、私は思わず小さく息を吐いた。


「向坂、移動車が来ている。ホテルに荷物を置いたら、そのまま会場へ向かう」
「わかりました」


 鶴岡さんに促され、私たちは迎えの車へ乗り込んだ。

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