お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
『向坂! 食事中に悪い。大変なことになって――』


 電話に出るや否や、いつになく焦った様子の鶴岡さんの声が耳に届いてくる。
 背中がひんやりとする。


「……何があったんですか?」


 鶴岡さんから聞かされた内容は、私の想像をはるかに超えるもので、食事を早々に切り上げた私たちは、急遽、場所を移して話し合うことになった。


 ◇◇◇


 指定されたのは、ホテル一階の吹き抜け近くにあるラウンジだった。
 柔らかな照明に包まれた上質な空間には、夜らしい静けさが満ちている。


「――なるほどね~……ここに来てモデルが他に取られちゃったわけか。そりゃあ、マズイな」


 心配して同行してくれた陸君は、鶴岡さんの報告を聞くなり、深いため息をついた。

 さっき、鶴岡さんから電話で報告を聞いたときは、頭が真っ白になった。

 聞いたところによると、先ほど向坂インターナショナルに女性モデルの所属事務所から連絡が入り、出演予定だった本人が、先方都合により今回の案件へ参加できなくなったという。それも、大手企業との専属契約が決まり、競合案件への出演が制限されることになったらしい。こちらとしては、引き留めようにもどうすることもできなかった。
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