お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 しかも、今回モデルが着用するドレスブランドは、職人による手作業が多く、仕立てには時間がかかる。すでに有力候補だったモデルの採寸データをもとに、サイズ調整や最終工程の準備が進み始めていて、今さら別のモデルを探すのは現実的ではない。それはわかっている。わかっているけれど――


「鶴岡さん、私、ほかにも当たってみます。まだ誰か、間に合う人がいるかもしれませんし」


 大道寺グループにとっての大事なイベントで、はる君も忙しい中尽力してくれたのに……このまま何もせずにはいられない。明確な打開策は浮かばなくても、黙ってはいられない。

 だけど鶴岡さんは、珍しく自信がなさそうに視線を落とした。


「向坂……気持ちはありがたいが、正直、この状況で今から新しいモデルを押さえるのは――」


 続きを聞きたくなくて、ぎゅうっと手のひらに力が入った、そのとき。


「確かに、ドレスの仕立ても進んでいるし、イベントまで時間がない以上新しいモデルを探すのは簡単じゃない。――でも、それなら、俺からひとつ提案があるんだけど」


< 212 / 339 >

この作品をシェア

pagetop