お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
◇ 第十章 プールサイドのふたり
第十章 プールサイドのふたり



 
 ――とはいえ、怖くないと言ったところで、緊張しないわけではない。
 自ら『はる君の隣を歩く』と選択したとしても、それが消えるわけではないのだ。
 そんなわけで、私は今……生まれたての小鹿のようにぷるぷると震えている。


「……き、緊張してきた、大丈夫かな、里子……?」


 真っ青な顔で、背後に立つ友人を震えながら見つめれば、


「大丈夫! もう逃げ場はないわ。外には大勢のVIP客と関係者でいっぱいよ!」
「もう! 楽しそうに緊張を煽らないでよ……!」


 ――あれから、約ひと月。

 ここは、グランツ・ハピネス・シンガポールのブライダルエリアの控え室。

 三日前に現地入りしてから、慌ただしいまま今日を迎えた私は、モデルとしてスタイリストさんによる最後の仕上げを受けていた。

 夕暮れに差しかかった空はゆっくりと色を変え、柔らかな光が静かに世界を包み込んでいる。
 新設されたばかりのエレガントなガーデンチャペルは、白を基調とした洗練された造りで、どこまでも続くようなコバルトブルー色のリゾートプールに囲まれていた。

 まさに、現実離れした夢のようなロケーション。

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