お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 緊張をやり過ごしながら里子と話していると、里子のしているインカムから鶴岡さんの声が漏れてくる。

 里子は「はーい!」と気の抜けた返事をして、私は里子の手を借りて、ゆっくりとドレスの裾を持って移動する。

 私たちより二日早く現地入りしていた鶴岡さんは、現場全体の指揮を任されていて、今日も休む暇もないほど忙しそうに動き回っている。

 そういえば鶴岡さん、リハーサル後、更衣室に向かおうとした私の元にやって来たっけ……?

 一瞬だけ言葉を失ったみたいに立ち尽くしてたあと、それから何かを言いかけたものの、ちょうど別のスタッフに呼ばれてしまい、結局そのままになってしまった。

 あれって、何を言おうとしたんだろう?

 はる君との交際をコアメンバーに報告することになったときも『付き合ってるなら、言ってくれてよかったのに』と、いつもの調子で肩を小突いてきたけれど……どこか少しだけ、笑い方がぎこちなかった気もする。もちろん嘘をついていたわけではないと説明したけれど、なんとなく彼らしくなくて引っ掛かっていた。私の気にしすぎかもしれないけれど。


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