お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 チャペルとガーデンを繋ぐように配置されたこのプールサイドは、この場所全体をやわらかく包み込んでいるみたいで、見ているだけで心が穏やかになる。風が吹くたび、水面に小さな波紋が広がり、淡い光が周囲に揺れていた。
 プールでの挙式をするカップルもいると聞いたが、このロケーションなら、最高の式が叶いそうだ。

 私たちから少し離れた場所では、スタッフたちが次の撮影の準備を進めていた。その間にもスタイリストさんが近づいてきて、ドレスの裾やヴェールの位置を確認し、風で乱れた髪を手際よく整えると、再びスタッフたちのもとへ戻っていった。


「綺麗……。少し前に、こことだいたい同じ作りだって聞いて都内のグランツ・ハピネスも見学したけれど、やっぱりスケールが違うね」


 目の前に広がる美しい景色に、さっきまでのはる君との甘いやり取りで火照っていた頬が、少しずつ心地よくほどけていく。


「日本とシンガポール(ここ)では、土地の広さが違うからね。リゾート開発は、空間をどれだけ贅沢に使えるかで演出の幅も変わるんだ」


< 311 / 339 >

この作品をシェア

pagetop