廃屋の転生幼女は冷酷宰相の愛娘になりました 〜魔力ゼロだったけど、公爵家でチートが開花しました~
 ライラと呼ばれた痩せ細った幼女が、彼女を怒鳴りつける男に突き飛ばされる。ちょうど割れたグラスの破片が目の前になるよう男はわざと倒したのだ。
 照明を受けて破片がギラリと輝く。それを見た幼女が手入れのされていない長い髪をその手で踏みながら悲鳴を上げて後ずさり、さらに転ぶ様を見て周囲は大笑いした。
 華やかな会場で、大勢の大人がいるというのに誰もその少女を助けない。
 ぼろ切れと言っても過言ではないような、せて擦り切れたドレスとも言えないようなそれを着せられた幼子はほろほろと涙を零す。
 それでも大人たちは遠巻きにそれを見て、哀れむどころか滑稽なものでも見るかのようにクスクスと笑うではないか。
 いいや、これは正しく見世物であった。
 幼い子供を取り囲み、嘲笑う大人たちは贅を尽くし享楽を貪るのだ。
 外では季節外れの雨が降り出し、遠くに雷鳴も聞こえる。
 涙を零し始めた少女を嘲笑する人々は、そのく雷鳴にふと顔を上げた。
 そして同時にホールの入り口が乱暴に開かれる。
「――これはどういうことだ」
 低い声が辺りに響く。その様はまるで物語の魔王が降臨したかのようで、その場にいた人々の口から悲鳴が上がった。
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