夜風にさらわれたお姫様

翌日。

白鴉組本部邸は朝から賑やかだった。


「姫ちゃん朝ごはん!」

「蒼空うるさい」

「燐斗さん静かすぎるんすよ!」


いつもの日常。

榴愛はキッチンで燈香を手伝っていた。


「榴愛ちゃん、すっかり馴染んだわね」

燈香が優しく笑う。

「……そうですか?」

「えぇ」

燈香は楽しそうに目を細めた。

「最初はあんなに怯えてたのに」

榴愛は苦笑する。

確かにそうだった。

煌夜のことも怖かった。

でも今は。

「……大好きです」

「煌夜?」

「はい」

燈香は嬉しそうに笑った。

「ふふ、煌夜が聞いたら喜ぶわ」

「言わないでください!」


その時。

「何が?」

「っ!?」

噂をすれば。

煌夜が立っていた。

「な、なんでもないから!」

「怪しい」

煌夜が目を細める。

燈香は楽しそうだった。

「榴愛ちゃん、煌夜のこと大好きなんですって」

「燈香さん!?」


終わった。

榴愛は顔を覆う。

煌夜は一瞬目を瞬かせ、その後ゆっくり笑った。

「知ってる」

「っ……!」

「顔見れば分かる」

ずるい。

煌夜は榴愛の頬へ触れる。

「俺も好き」

「だからここで言わないで……!」

広間が笑い声に包まれる。

その空気が温かかった。


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