夜風にさらわれたお姫様
夜。
依吹はPC室で一人モニターを見ていた。
大量のデータ。
監視映像。
その中で、一つの情報に目が止まる。
「……これは」
依吹の表情が険しくなる。
そこへ心桜が入ってきた。
「どうしたの」
依吹は画面を見せる。
「新組織の情報です」
そこには、見慣れないマーク。
黒い三日月のような紋章。
心桜の顔色が変わる。
「……嘘」
「知ってるんですか?」
心桜は静かに頷いた。
「昔、噂だけ聞いたことある」
低い声。
「“月霞組(げっかぐみ)”」
その名前が、静かな部屋へ落ちる。
依吹は目を細めた。
「かなり危険らしいですね」
「うん」
心桜はモニターを見る。
そこには一文だけ表示されていた。
――“白鴉組のお姫様を頂きに行く”
空気が凍る。