夜風にさらわれたお姫様
作品への思い
この作品を書きながら、一番大切にしたかったのは「守られるだけではないヒロイン」を描くことでした。
榴愛は確かに普通の女の子です。
喧嘩が強いわけでもありませんし、戦えるわけでもありません。
最初は裏社会を怖がり、ただ守られる側でした。
けれど、物語が進むにつれて、榴愛は“誰かを支えたい”と思うようになります。
煌夜が傷付けば心配する。
帰ってきてくれることを願う。
危険な世界だと分かっていても、隣にいたいと願う。
その気持ちこそが、榴愛の強さだと思っています。
そして煌夜もまた、榴愛によって変わっていきます。
元々の煌夜は、冷静で合理的で、自分の感情を抑え込むタイプでした。
でも榴愛に出会ったことで、“守りたい”“離したくない”という感情を隠せなくなっていきます。
嫉妬したり。
独占欲を見せたり。
過保護になったり。
そんな不器用な愛情表現も、煌夜らしさとして楽しみながら書かせていただきました。
また、白鴉組という組織自体にも強い思い入れがあります。
裏社会に生きている人たちだからこそ、“居場所”や“仲間”を大切にしている。
そんな組織として描きたかったのです。
だからこそ、シリアスな抗争シーンだけではなく、広間で騒いでいる日常シーンや、みんなで笑い合う場面もたくさん入れました。
危険な世界だからこそ、日常が尊い。
そんな空気を感じてもらえていたら嬉しいです。