私が拾ったのは、千年前の皇子様でした

第25話 千紘の故郷

やっと飛行機から降りた私たちは、
松山市を観光してから実家へ向かうことにした。

「ここが今の伊予国か……」

悠真は空港を見回しながら、小さく呟く。

「いや、まだ空港だから」

思わずツッコむと、
悠真は少し照れくさそうに笑った。

空港からバスに揺られること三十分。

私たちは松山市の中心部へやってきた。

悠真と二人で観光をするのは、上野以来だ。

まず向かったのは松山城。

天守閣から見える街並みに、
悠真は目を輝かせていた。

「都とは全く違う景色だな」

「千五百年も経ってるからね」

次に向かったのは道後温泉。

歴史ある建物を見上げながら、

「ここも長い年月を生きてきたのだな」

と、悠真はどこか感慨深そうに呟いた。

その横顔を見ていると、この土地が悠真にとって特別な場所なのだと、改めて感じる。

私も久しぶりに帰ってきた故郷を懐かしく思っていた。

でも、不思議だった。

初めて来るはずの悠真は、まるで何かを探すように、時折立ち止まっては辺りを見渡している。

「どうしたの?」

私が尋ねると、

「……いや。」

悠真は静かに首を横に振る。

「懐かしいような、そうでもないような……不思議な気持ちになるだけだ。」
< 114 / 136 >

この作品をシェア

pagetop