私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
目が覚める。
時計を見る。
夕方の五時。
頭痛も、
朝よりはだいぶ楽になっていた。
私はゆっくり起き上がる。
すると、
机の上にメモが置かれていた。
『水はこまめに飲め。
無理そうなら起こしてくれ。
冷蔵庫にゼリーも入れてある。
一ノ瀬』
思わず苦笑する。
本当に、どこまでも気の利く人だ。
冷蔵庫のゼリーをありがたく頂戴して、
私は一息ついた。
そして
コンコン。
部長の入っていった部屋のドアをノックした。
部長が部屋から出てくる。
「もう、大丈夫か?」
「はい。そろそろ帰らないと」
「そうだな」
そう言って部長は優しく笑った。
アパートまで部長が送ってくれることになった。
車の中。
「何から何まで、本当にありがとうございます」
助手席に座りながら、まっすぐ前を見ている、
部長にお礼を言った。
部長は思っていたより、ずっと優しい人だ。
「部下の不始末の尻拭いをするのは、上司の勤めだ」
と、部長はイタズラっ子のような顔で言った。
さっきの優しいって言うのを取り消そうと思ったが、
ここまでしてもらっていて、
優しさがないわけがない。
アパートが見えてくる。
「あ、もうここで大丈夫です」
「そうか」
そう言って、部長は車を停めた。
「本当にありがとうございました」
そう言って、車を降りる。
すると、アパートの玄関から誰かが飛び出してきた。
入口から、誰かが飛び出してくる。
「千紘!」
悠真だった。
髪も乱れ、目の下には隈。
明らかに、ろくに眠っていない。
「ゆ、悠真……」
次の瞬間。
悠真はこちらへと駆け出し、私の前に立った。
ぎゅっ。
強く抱き締められる。
「よかった……」
震える声。
「本当に、よかった……」
どれだけ、心配をかけていたんだろう。
「ごめん、悠真……」
そう言って、抱きしめ返そうとした時だった。
車から、咳払いが聞こえた。
そこには「目も当てられない」と言った表情の、
一ノ瀬部長の姿があった。
「す、すみません」
慌てて、悠真から離れる。
すると、悠真は部長の前に立つと、
「貴様、千紘に何かしたわけではあるまいな」
怖い顔をして言った。
「高瀬、これは彼氏さん?」
「い、いえ。違います」
はっきりと、答える。
「我にとって千紘は恩人なのだ。その恩人を傷つけるようなーー」
「違うの!」
怖い顔で、
部長を睨みつけている悠真を急いで止める。
「部長は私を助けてくれただけなの!」
「そう、なのか?」
戸惑った様子で、悠真は言った。
「まぁ、そうなるな」
部長がそう言うと、悠真は突然、
地面に土下座をした。
「大変申し訳ないことをした。我の命を持って詫びをーー」
そんな悠真を見て、部長は
「君現代の人じゃないみたいだね」
そう言って。
一瞬、その場が凍りつく。
しかし、空気を破ったのは、意外にも、
部長だった。
「彼氏じゃない人を家に置いておくのは、どうかと思うぞ。高瀬」
真剣な面持ちの部長。
「彼氏というものはわからぬが、我には心に決めた相手がおる。だから、千紘には何もする気はない」
その言葉が、私の心臓を突き刺した。
痛い。
苦しい。
やはり、悠真は……
いや、私は何を期待していたのだろうか。
私はその場にいづらくなり、
自分の部屋へと走った。
「千紘!」
後ろで、悠真の声がする。
でも、そんなのどうでもいい。
部屋に入ると、寝室に閉じこもった。
時計を見る。
夕方の五時。
頭痛も、
朝よりはだいぶ楽になっていた。
私はゆっくり起き上がる。
すると、
机の上にメモが置かれていた。
『水はこまめに飲め。
無理そうなら起こしてくれ。
冷蔵庫にゼリーも入れてある。
一ノ瀬』
思わず苦笑する。
本当に、どこまでも気の利く人だ。
冷蔵庫のゼリーをありがたく頂戴して、
私は一息ついた。
そして
コンコン。
部長の入っていった部屋のドアをノックした。
部長が部屋から出てくる。
「もう、大丈夫か?」
「はい。そろそろ帰らないと」
「そうだな」
そう言って部長は優しく笑った。
アパートまで部長が送ってくれることになった。
車の中。
「何から何まで、本当にありがとうございます」
助手席に座りながら、まっすぐ前を見ている、
部長にお礼を言った。
部長は思っていたより、ずっと優しい人だ。
「部下の不始末の尻拭いをするのは、上司の勤めだ」
と、部長はイタズラっ子のような顔で言った。
さっきの優しいって言うのを取り消そうと思ったが、
ここまでしてもらっていて、
優しさがないわけがない。
アパートが見えてくる。
「あ、もうここで大丈夫です」
「そうか」
そう言って、部長は車を停めた。
「本当にありがとうございました」
そう言って、車を降りる。
すると、アパートの玄関から誰かが飛び出してきた。
入口から、誰かが飛び出してくる。
「千紘!」
悠真だった。
髪も乱れ、目の下には隈。
明らかに、ろくに眠っていない。
「ゆ、悠真……」
次の瞬間。
悠真はこちらへと駆け出し、私の前に立った。
ぎゅっ。
強く抱き締められる。
「よかった……」
震える声。
「本当に、よかった……」
どれだけ、心配をかけていたんだろう。
「ごめん、悠真……」
そう言って、抱きしめ返そうとした時だった。
車から、咳払いが聞こえた。
そこには「目も当てられない」と言った表情の、
一ノ瀬部長の姿があった。
「す、すみません」
慌てて、悠真から離れる。
すると、悠真は部長の前に立つと、
「貴様、千紘に何かしたわけではあるまいな」
怖い顔をして言った。
「高瀬、これは彼氏さん?」
「い、いえ。違います」
はっきりと、答える。
「我にとって千紘は恩人なのだ。その恩人を傷つけるようなーー」
「違うの!」
怖い顔で、
部長を睨みつけている悠真を急いで止める。
「部長は私を助けてくれただけなの!」
「そう、なのか?」
戸惑った様子で、悠真は言った。
「まぁ、そうなるな」
部長がそう言うと、悠真は突然、
地面に土下座をした。
「大変申し訳ないことをした。我の命を持って詫びをーー」
そんな悠真を見て、部長は
「君現代の人じゃないみたいだね」
そう言って。
一瞬、その場が凍りつく。
しかし、空気を破ったのは、意外にも、
部長だった。
「彼氏じゃない人を家に置いておくのは、どうかと思うぞ。高瀬」
真剣な面持ちの部長。
「彼氏というものはわからぬが、我には心に決めた相手がおる。だから、千紘には何もする気はない」
その言葉が、私の心臓を突き刺した。
痛い。
苦しい。
やはり、悠真は……
いや、私は何を期待していたのだろうか。
私はその場にいづらくなり、
自分の部屋へと走った。
「千紘!」
後ろで、悠真の声がする。
でも、そんなのどうでもいい。
部屋に入ると、寝室に閉じこもった。