私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
私と悠真は蘇を食べながら、
奈良について語っていた。
悠真は蘇を食べると、
懐かしそうに目を閉じ、しばらく黙り込んだ。
でも、すぐに「早く話を聞かせてくれ」と、再び目を輝かせた。
私はもっと感動してくれるものだと思っていたが、
なんとも、あっさりとした反応で少し寂しかった。
「今の奈良には、これほど大きな寺や仏像があるのか」
「うん、私も感動しちゃった」
私たちはパンフレットやスマホで撮った写真を見ながら、いろんな話をした。
「このお寺は、悠真が死んでから四百年後ぐらいに、
造られたんだって」
「千紘、流石の我も、『我が死んでから』と言われると、悲しくなるぞ」
「あ、ごめんね」
「まぁ、我は寛大だからな。許そう」
「何それ」
悠真との他愛のない会話。
やっぱり私は、旅行中寂しかったんだな。
悠真の笑顔を見て、ふと思う。
「この森はなんだ?」
そう言って悠真は、スマホの写真を指差した。
「あ、これは古墳。お墓だよ」
「これがか?木を植えすぎではないか?」
「っ……植えたんじゃなくて、長い年月が経って、
勝手に生えてきちゃったんだよ」
悠真の言葉に、思わず吹き出してしまった。
「そういえば、このお墓は、悠馬のお兄さんのお墓らしいよ?」
「そうか……これが兄上の……」
悠真は写真を見つめたまま、何も言わなかった。
長い沈黙。
私は声をかけることもできず、その横顔を見つめるしかなかった。
「大丈夫?」
しばらく黙っていたが、
心配になり、悠真の顔を覗き込む。
すると、悠真はパッと顔を上げて、
何事もなかったかのように、私が話すのを急かした。
今の表情もそうだけど、蘇を食べた時も何か違和感があった。
自分の感情を、
口に出さないようにしているみたいだった。
奈良について語っていた。
悠真は蘇を食べると、
懐かしそうに目を閉じ、しばらく黙り込んだ。
でも、すぐに「早く話を聞かせてくれ」と、再び目を輝かせた。
私はもっと感動してくれるものだと思っていたが、
なんとも、あっさりとした反応で少し寂しかった。
「今の奈良には、これほど大きな寺や仏像があるのか」
「うん、私も感動しちゃった」
私たちはパンフレットやスマホで撮った写真を見ながら、いろんな話をした。
「このお寺は、悠真が死んでから四百年後ぐらいに、
造られたんだって」
「千紘、流石の我も、『我が死んでから』と言われると、悲しくなるぞ」
「あ、ごめんね」
「まぁ、我は寛大だからな。許そう」
「何それ」
悠真との他愛のない会話。
やっぱり私は、旅行中寂しかったんだな。
悠真の笑顔を見て、ふと思う。
「この森はなんだ?」
そう言って悠真は、スマホの写真を指差した。
「あ、これは古墳。お墓だよ」
「これがか?木を植えすぎではないか?」
「っ……植えたんじゃなくて、長い年月が経って、
勝手に生えてきちゃったんだよ」
悠真の言葉に、思わず吹き出してしまった。
「そういえば、このお墓は、悠馬のお兄さんのお墓らしいよ?」
「そうか……これが兄上の……」
悠真は写真を見つめたまま、何も言わなかった。
長い沈黙。
私は声をかけることもできず、その横顔を見つめるしかなかった。
「大丈夫?」
しばらく黙っていたが、
心配になり、悠真の顔を覗き込む。
すると、悠真はパッと顔を上げて、
何事もなかったかのように、私が話すのを急かした。
今の表情もそうだけど、蘇を食べた時も何か違和感があった。
自分の感情を、
口に出さないようにしているみたいだった。