私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
「ああ〜」

私はキャリーケースを床に置き、
おじさんのような声を出しながら、
ソファへ倒れ込んだ。

いつもの家の天井だ……

どんどん体から力が抜けていく。

しかし、さっきから気づかないふりをしているものがある。

痛いほど突き刺さる視線だ。

目からビームでも出ているのではないか、
と思うくらい熱い。

恐る恐る横を見る。

そこには、悠真が正座をして、
じっと私を見つめていた。

その姿は、まるでおやつを待っている犬のようだ。

これは……

話さないと終わらないやつだ。

「はぁ……」

私は深いため息をつき、
ゆっくりとソファから起き上がる。

「わかった、話すから」

その一言で、悠真の表情がぱっと明るくなった。

見えないはずなのに、
後ろで尻尾がぶんぶん振られている気がする。

このまま放っておいたら、
今にも吠え出しそうだ。

私は苦笑しながら、
スマホやパンフレット、お土産をテーブルに並べる。

「じゃあ、奈良旅行の報告会を始めます」
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