私が拾ったのは、千年前の皇子様でした
「というか、その人自分のことを木梨軽皇子だって、
言ったわけ?」

「そうだね。それに、最初は私のことを大軽娘皇女だと勘違いしてたの」

「なんで、そんな微妙な時代の人が……」

「わかんない。でも、彼に会った日から、
変な夢をみるようになったの」

「変な夢?」

そこで私は、今までに見た夢の内容を、
全て話した。

そして、奈良で起きた出来事についてもーー

「何それ……」

「私にもよくわからないの」

「でもさ……」

美緒は腕を組み、少し考え込んだ。

「皇子がタイムスリップしてきたって考えるのが一番自然なんだよね」

「うん……」

「問題は千紘の方」

「私?」

「夢も、『姫様』って呼ばれたことも説明がつかない」

「そうなんだよね……」

「生まれ変わりなのか、それとも何か別の理由があるのか……」

美緒は首を横に振った。

「資料を読んでも、そんな話は残ってない」

「でも、記憶はもともとあったわけじゃないし……」

その後も、私たちはいろいろな憶測を立てたが、
どれも噛み合わない部分が出てきてしまう。

そして結局、このことについて深く考えるのは、
止めよう、と言うことになった。

「でもさ千紘、前よりかっこよくなった気がするよ」

「かっこよく?」

「なんというか、自信が持ててるっていうか」

「そうかな〜?」

「あ、じゃあ気のせいか」

「ちょっ、そこは『そうだよ』って言うとこでしょ」

二人で顔を見合わせて笑う。

やっぱり美緒といると、不思議と心が軽くなる。

奈良で抱えてきた不安も、
その時だけは少し忘れられた。
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