冬は初恋の匂いがする

episode,1

「...ぁ..nぁ.なな!ちょっと聞いてる?」

「あぁ、ごめん聞いてなかった。」

「顔色悪いけど大丈夫?」

「うん。大丈夫。」

「それなら良かった。じゃあ私席戻るね。」

「うん。またね、莉里」

莉里は私の数少ない友人だ。

私は人が、苦手だ。小学生の頃に、あった出来事で、一瞬にして大切な人を失いかけてしまった。

______________________________________________

「はるくん!今日お家行っていい?」

「いいよ。待ってる。」

「わかった。家帰ったらすぐ行くね!!」

星宮羽流くん(ほしみや はるくん)

1年生からずっとクラスが同じだったから仲良くなって、定期的に遊ぶ仲にまでなった。

「はるくん」は優等生で、誰にでも優しかった。

それが裏目に出てしまったのだ。

小学4年生の12月。はるくんと私は、公園で遊んだ帰り、
横断歩道を歩いていたら、赤信号のはずの車線から、乗用車が突っ込んできた。

いち早く気がついたはるくんは、なるべく早く横断歩道を渡り切り、私を守ろうとしてくれた。

けれど、わずかにはるくんが逃げ遅れ、
乗用車のライトのところが、はるくんの背中に当たり、
はるくんははねられてしまった。

私はすぐさま、はるくんにかけ寄り、
涙目になりながら
「はるくんっ!はるくんっ!ねぇ起きてよ。目開けてよ。
ねぇっ!」

と叫び続け、大粒の涙を流して、はるくんの頭から流れる赤い液体に大きなショックを受けた。

近くにいた大人が救急車を呼んでくれ、はるくんと、私は運ばれて行った。

私はかすり傷程度で済んだが、
はるくんは、肋骨を複数本折り、しばらく入院になってしまった。

家に帰って、自分の部屋で泣き喚いた。

自分のせいで、はるくんは怪我をしてしまったと、
自分のせいで、はるくんの意識が戻らないほど重症だと、
自分のせいで、はるくんの背中に傷を負わせて、跡が残ってしまうかもしれないと、

自分のせいで、自分のせいで、自分のせいで、自分のせいでと自分を責めた。

さらには、自分と、関わったら、関わった人が不幸になるのだと、まで、思った。
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