βの私に執着した元カレαの執着愛が止まりません


「あの、篠崎さん。今日、門前病院の薬剤部に挨拶に行くの何時ごろですか?」


午前中の処方箋受付ピーク波を乗り越え、来局患者さんがいなくなり、スタッフの休憩を回し始めた頃、薬剤師の皆川さんが私に話しかけた。

そうだった。前任の田中さんから引き継いだことを、門前病院の薬剤部長さんに挨拶に行く日だった。

着任早々、緊張が取れないなと思いつつ、重大な案件を思い出させてくれた皆川さんに笑顔を返す。


「15時ごろ伺うと先方にはお伝えしているんですけど、先方が忙しかったら時間調整すると言われているので、これから薬剤部に電話して確認してみます。なにかありましたか?」

「あ、いえ!15時なら大丈夫です!私、今日在宅で出かけるんですけど、患者さんが13時に家に来てほしいと言われていて。篠崎さんの予定時間と被ったら、店舗に残る薬剤師が2人になってしまうので心配しただけです」

「そうだったんですね!13時まであと30分ですし、在宅の準備してていいですよ」

「わかりました、ありがとうございます」


自分のスケジュールがリスケにならなかった安心感からか、私に話しかけた時の不安そうな表情を和らげて去っていく皆川さんを横目に、私は薬局内の受話器をとる。

えっと、門前の薬剤部宛の電話は…っと、

電話回線に登録してある連絡帳から、目当ての電話番号を見つけた私は、そのまま発信ボタンを押した。


「こちら、市立若葉病院 薬剤部でございます」

「恐れ入ります。わかば薬局の篠崎と申します。薬剤部長の井上先生いらっしゃいますか?本日、ご挨拶に伺う予定がございまして、予定時間の最終確認でお電話いたしました」

「はい、少々お待ちください」


ワンコールで先方の薬剤師さんが電話をとってくれ、スムーズに薬剤部長に繋いでくれた。


「はい、木下です」

「あっ、恐れ入ります。本日、ご挨拶に伺う予定のわかば薬局、篠崎と申します。事前に伺った連絡で、本日のご挨拶訪問時間が15時となっておりますが、予定変更などございますか?」

「お世話になっております。今のところ15時で問題ありません。予定変更あれば、再度こちらから連絡しますね。わざわざご連絡ありがとうございます」

「いえいえ。承知しました。では、15時伺いますので、よろしくお願いします」


簡単な挨拶を交わした後、受話器を置いた。


「篠崎さん、15時で変更なしでした?」


次の瞬間、すぐ近くに来ていた皆川さんが私に話しかけてきた。


「あっ、皆川さん。はい、15時で確定みたいです。変更あれば連絡が来るので、その時は私に繋いでください」

「わかりました。他のみんなにも伝えておきます。じゃあ、在宅の準備終わったので、行ってきますね」

「はい。気をつけていってらっしゃいませ」


薬局内のフロアに残っているスタッフみんなで、在宅へ向かう皆川さんを見送って、私はまた自分の業務に取り掛かるのだった。



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