βの私に執着した元カレαの執着愛が止まりません
そして迎えた15時直前。
薬剤部がある地下2階に、なんとかたどり着いた私は、薬剤部と書かれた大きな扉を前に深呼吸する。
なんで病院の薬剤部って、地下とかわかりにくいところにばっかり設置してあるのよ…。
地下階段に降りてからフロアマップが見つけられずキョロキョロしていた私に、通りかかった院内のスタッフさんに案内されてやってきたため、心の中でちょっとした不満をこぼしてしまう。
えーっと、名刺交換は名乗りながら、両手で差し出して、相手の名刺は左手から順に両手で受け取る、と…。
社会人4年目とはいえ、薬局薬剤師業界で名刺交換をする機会は限られる。
しかも、私の場合、今回が初めての名刺交換なため、ここに来るまで脳内で何回も名刺交換の反復練習をしていた。
ふー…よし!
コンコンッ
「失礼します」
心の中で気合を入れて、見た目通り重くどっしりとした鉄の扉を開け、薬剤部の中に足を踏み入れた。
「本日、15時より薬剤部長の木下先生とご挨拶のアポイントをとっております、わかば薬局の篠崎と申します」
「あっ、お世話になっております。今、薬剤部長呼んできますね」
自己紹介をした私に一番近いところで事務作業していた薬剤師さんが気づいてくれ、薬剤部長を呼びに奥に消えていった。
へぇ、入口は事務スペースなんだ…。
調剤室や無菌室などは奥の方にあるようで、私が立っているところにはほとんど人がいない。
緊張しながら辺りを見渡していると、さっき薬剤部長を呼びにいってくれた薬剤師さんと一緒に男性がこちらにやってきた。