夜の風景
約束の夏、そして…
第3話 – 13ページ目:すなみどう水族館
午後 – すなみどう水族館
青い光が、辺り一面を包んでいた。
壁そのものが、ゆっくりと呼吸しているかのようだった。静かに、絶え間なく。
魚たちは、ガラスの向こうを無言で横切っていく。
特に目的もなく、しかし生きている。
ミヤは、一人だった。
彼女の歩みは遅く、急いでもいなければ、向かう場所があるわけでもなかった。
クラゲの水槽の前に立つ。
彼らの動きは優しい。上がって、下りて……決して止まることのない思考のように。
ミヤは、そっと呟いた。
「一人って、こんなに静かだったっけ。」
ガラスに手を当てる。ひんやりと冷たい。
数秒、そのままそこにいた。
それから、さらに静かな声で。
「前は、怖かったのに。」
間。
「今は…少しだけ違う。」
小さな水槽のそばのベンチに腰を下ろす。
オレンジ色の魚たちが、青い光の中で泳いでいる。
まるで、静かな夢の中の生きた点のような。
バッグからノートを取り出す。
ペンを開く。
書きつづった。
「人生は、水槽を外から眺めているようなものじゃない。」
間を置き、泳ぐ魚たちを目で追う。
「時には、水の中に入らなければならない。たとえ冷たくても。」
ペンを閉じた。
顔を少し上げる。青い光が、彼女の顔の上で揺れていた。
「イロ…」
声は、とても小さかった。考えるよりも、ただそこに在るように。
「約束、覚えてるよね。」
沈黙。
「夏祭り…ちゃんと来るよね。」
遠くから、子供の声が聞こえた。
「ママ、この魚どこから来たの?」
母親の声は、優しかった。
「遠い海からだよ。」
ミヤは、ガラスを見つめた。
かすかに微笑む。
「遠い海…」
それから、ほとんど息のように。
「私も、そうだったのかも。」
彼女は立ち上がり、出口へと向かう前に、もう一度大きな水槽の前に立った。
青い光が、彼女の顔の上でゆらめいている。
「人生って、海みたいだね。」
間。
「広くて、深くて、時々怖い。」
彼女の目が、柔らかくなる。
「でも…止まれない。」
水族館を出る。
夕暮れの夏の光が、彼女の顔を照らす。
あのガラスの向こうの青は、静かに、彼女の背後に残された。
午後 – すなみどう水族館
青い光が、辺り一面を包んでいた。
壁そのものが、ゆっくりと呼吸しているかのようだった。静かに、絶え間なく。
魚たちは、ガラスの向こうを無言で横切っていく。
特に目的もなく、しかし生きている。
ミヤは、一人だった。
彼女の歩みは遅く、急いでもいなければ、向かう場所があるわけでもなかった。
クラゲの水槽の前に立つ。
彼らの動きは優しい。上がって、下りて……決して止まることのない思考のように。
ミヤは、そっと呟いた。
「一人って、こんなに静かだったっけ。」
ガラスに手を当てる。ひんやりと冷たい。
数秒、そのままそこにいた。
それから、さらに静かな声で。
「前は、怖かったのに。」
間。
「今は…少しだけ違う。」
小さな水槽のそばのベンチに腰を下ろす。
オレンジ色の魚たちが、青い光の中で泳いでいる。
まるで、静かな夢の中の生きた点のような。
バッグからノートを取り出す。
ペンを開く。
書きつづった。
「人生は、水槽を外から眺めているようなものじゃない。」
間を置き、泳ぐ魚たちを目で追う。
「時には、水の中に入らなければならない。たとえ冷たくても。」
ペンを閉じた。
顔を少し上げる。青い光が、彼女の顔の上で揺れていた。
「イロ…」
声は、とても小さかった。考えるよりも、ただそこに在るように。
「約束、覚えてるよね。」
沈黙。
「夏祭り…ちゃんと来るよね。」
遠くから、子供の声が聞こえた。
「ママ、この魚どこから来たの?」
母親の声は、優しかった。
「遠い海からだよ。」
ミヤは、ガラスを見つめた。
かすかに微笑む。
「遠い海…」
それから、ほとんど息のように。
「私も、そうだったのかも。」
彼女は立ち上がり、出口へと向かう前に、もう一度大きな水槽の前に立った。
青い光が、彼女の顔の上でゆらめいている。
「人生って、海みたいだね。」
間。
「広くて、深くて、時々怖い。」
彼女の目が、柔らかくなる。
「でも…止まれない。」
水族館を出る。
夕暮れの夏の光が、彼女の顔を照らす。
あのガラスの向こうの青は、静かに、彼女の背後に残された。