夜の風景

一つの章の終わり

第四章 – 第十五ページ:学校生活の最後の日々


3月初旬


冬は、ほとんど終わりを迎えていた。


校庭の隅に残っていた雪も、少しずつ溶け始めていた。


朝の空気には、春の匂いが混じっていた。


ミアは毎日、以前より早く学校へ来るようになっていた。


卒業試験が始まっていた。


教室は静まり返り、それぞれが最後の勉強に集中していた。


ユカは本を閉じ、ため息をついた。


ユカ:


「これが最後のテストなんて、まだ信じられない。」


ハナが笑った。


ハナ:


「終わったら、もう卒業だよ。」


ミアは微笑んだ。


けれど、何も言わなかった。


その視線は、しばらく窓の外に向けられていた。


外では、数滴の雨が窓ガラスを静かに叩いている。


春は、もうすぐそこまで来ていた。


数日後。


最後の試験も、ついに終わった。


先生が答案用紙を集めると、学校の廊下にチャイムの音が響いた。


ミアはペンを机の上に置いた。


そして、しばらくその場に座ったまま動かなかった。


机。


黒板。


周りの椅子。


その一つ一つを、静かに見つめる。


いったい、どれだけの日々をこの教室で過ごしたのだろう。


笑った日。


泣いた日。


小さな喧嘩。


友達との時間。


そして――


きっと一生忘れないと思っていた、たくさんの思い出。


そのとき、ユカが突然ミアの手を取った。


ユカ:


「みや、行こう!」


ミアは立ち上がった。


四人は並んで教室を出ていった。


学校の門まで来たところで、ミアは一度振り返り、校舎を見つめた。


ハナが尋ねる。


「どうして止まったの?」


ミアは静かに答えた。


「ううん……ただ、もう一度だけ見ておきたかったの。」


そう言って、ミアは微笑んだ。


そして、友達と一緒に歩き始めた。


その日から――


学校は、もう以前と同じ場所ではなかった。


最後の試験は終わった。


卒業式まで、あと数日。


ミアにはまだ分からなかった。


この先、自分を待っているものが何なのか。


けれど、一つだけ分かっていた。


人生の一つの章が――


本当に、終わろうとしていた。


つづく……
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