夜の風景

またね、東京

第四章・第十八ページ:東京にさよなら


四月中旬――大学の始まる数日前


ミアの部屋は、たくさんの段ボール箱でいっぱいになっていた。


本、服、古いノート、そして大切な私物が、一つずつ箱の中へと収められていく。


机の上には、たった一冊のノートだけが残っていた。


それは、ミアが何年も詩を書き続けてきた、あの古いノートだった。


ミアはそのノートを手に取り、何ページかめくった。


そこには、たくさんの思い出が隠れていた。


冬。


春。


夏。


そして、秋。


一つ一つのページが、彼女の人生の一部だった。


ミアは小さく微笑み、ノートをバッグの中に入れた。


そのとき、母がドアの向こうから声をかけた。


母:

「ミア、準備できた?」


ミアは、段ボール箱でいっぱいになった部屋を見渡した。


ミア:

「うん。もう少し。」


午後――いつもの公園


ミア、ユカ、リナ、ハナの四人は、いつもの公園の木のテーブルを囲んで座っていた。


心地よい風が吹き、春の終わりを告げる桜の花が、まだ枝に残っていた。


ハナが寂しそうに尋ねる。


ハナ:

「本当に横浜に行っちゃうの?」


ミアは微笑んだ。


ミア:

「うん。大学があるから。」


ユカは小さくため息をついた。


ユカ:

「遠くなるね。」


リナが静かに言った。


リナ:

「でも、東京からそんなに遠くないよ。」


ハナがすぐに笑って言った。


ハナ:

「じゃあ、みんなで遊びに行けばいいじゃん!」


ミアは三人を見つめた。


その目には、少しだけ涙が浮かんでいた。


ミア:

「ありがとう。」


ユカがミアの手を握った。


ユカ:

「泣かないでよ。」


ミアは笑った。


ミア:

「泣いてない。」


ハナがすぐに言い返す。


ハナ:

「嘘。目、赤いよ!」


その瞬間、四人は声を上げて笑った。


夕暮れになると、四人は別れることになった。


ミアは数歩歩いた。


けれど、ふと立ち止まり、振り返った。


友達はまだ、そこに立っていた。


ミアは最後にもう一度、手を振った。


ミア:

「またね!」


公園に、三人の声が響いた。


ユカ・リナ・ハナ:

「またね、ミア!」


ミアは微笑み、歩き出した。


今度の別れは、終わりのようには感じなかった。


それはむしろ、新しい扉を開くことのように思えた。


その扉の向こうには、これから始まる新しい人生が待っている。


夜――ミアの部屋


スーツケースは、ベッドの横に準備されていた。


ミアは床に座り、最後の荷物を中に入れた。


そして、部屋の明かりを消した。


眠る前に、ミアはもう一度、部屋を見渡した。


何年もの間、自分の居場所だった部屋。


静かに、つぶやく。


ミア:

「明日から……新しい生活。」


ミアは目を閉じた。


明日、ミアは東京を離れる。


そして初めて、別の街で自分の人生を歩み始める。


横浜。
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