雨暮くんは溺愛彼氏
 じいじは二階で手を振っている。きっと、お洗濯ものを干している。
 親戚一同が集まるとじいじばあばは大忙しで、一日中家事に追われっぱなしだ。いとこちゃんとわたしが子どもたちだけでお風呂に入れるようになってからは、それ以外の時間はほぼ、洗濯物の処理に追われるか、みんなのご飯を作っているかのどちらかだ。
 ばあばはよしよししてくれる。ばあばに会うとわたしは、子どもに戻ったみたいな気分になる。赤ちゃんの頃からわたしのお世話をしてくれた大切なひと。
「ばあばは、髪切った? 似合うね。」
「花桜里ちゃんは、髪が伸びたなぁ。羨ましいわ……。ばあばは、年を取ってからは、ちょっとね。」
「どんな髪型をしていても、ばあばは、ばあばだよ。」
 父と母は車から荷物を降ろしてくれている。わたしは、大人には大人の役割というものがあって、孫には孫のすべきものがあるのだと理解しているので、ばあばとのつかの間のお喋りを楽しむ。
 不思議。そこに山があるってだけで、空気が澄み渡っている感じがする。長野の空気は、東京のものとは違う。肺の底からみずみずしいなにかに満たされている感覚。
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