ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
大竹課長には、顔も知らない父親が危篤だというくらいのことを匂わせ、実家に帰ると説明した。

──ある意味では、本当に実家だし。

皮肉な笑みを浮かべる瞬也に気づかず、蘭子は背後からさらに体を擦り寄せながら、

「それじゃあ、すぐにうちの社員として表に出るわけにはいかないわね。まぁ、私もしばらくは研修が必要だと思ってたけど」

「……研修ね。うん、それでいいよ」

「瞬也は頭がいいもの、問題ないでしょうけど。これからしばらくはここで私が個人指導してあげるわ。でも安心して、時期を見てどこかの支店長にしてあげるから。まずはそのためのお勉強期間よ」

「……はい、頑張ります」

笑い混じりに答えながら、それが個人指導という名の体のいい軟禁だとわかっていた。
いよいよ、彼女の手元で飼い馴らされるのだなと。

でも、いくら彼女と過ごしたところで自分に彼女を抱ける日が来るとは思えない。

美咲に出会うまでは愛のないセックスなど簡単だったが、蘭子だけは無理だ。

16のあの日に感じた嫌悪感や恐怖が鮮明に自分の中に残っており、今も過度なスキンシップの際にはフラッシュバックしてしまう。笑顔で悪寒を隠して耐えている。だが、恐らく蘭子も気づいているだろう。

彼女が触れたところでまったく反応しなかった体を、吐きそうになっている自分を、蘭子も見た。

そのうえで、彼女は何を求めているのだろうと、今でもたまに思う。

飼い馴らせばいずれは、という希望を抱いているのだろうか。
< 120 / 175 >

この作品をシェア

pagetop