ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「どんな妨害をしても無駄です。会社も家も、全部捨てる覚悟はしてる。だけど、できれば争いたくない。だからこうして話しに来てるんだ」

「瞬也……。私の力はよく知ってるはず。そのうえで、言ってるのね?」

「もちろん」

迷うことなく頷く瞬也。私も同じように頷いた。

「……」

長い長い沈黙が訪れる。

私は瞬也の手を握る指先に力を込め、蘭子さんを見つめ続けていた。

蘭子さんは私からも瞬也からも目をそらして、中空を見ている。
軽く下唇を噛んだ表情は、激しい感情を懸命に隠しているように見えた。

「──いつから気づいてたの」

やがて蘭子さんが発したのは、そんな問いかけ。だけどその意味は、私にはわからなかった。

それを理解したのは瞬也だけで、彼は凪いだ声で答える。

「つい最近だよ」

「──そう。そして、あれがあなたの答えなのね」

「当然だろ? ねえ蘭子さん、俺と何年一緒にいたって、その関係はまやかしでしかないんです。あなたも気づくべきだ。そしてもう本当に、俺のことは忘れて」

「……っ」

蘭子さんは答えない。

その沈黙が何を意味するのか──私にも、きっと瞬也にも、正確には推しはかれていなかったかもしれない。

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