ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
再びの沈黙の後、蘭子さんは椅子を回して私達に背中を向けた。そして、かすかに震える小さな声で、

「──後悔するわよ、きっと」

それはどういう意味だろう。
やっぱり、とことん妨害してやるという意味だろうか。

私達のことなんて認めない、と。
だけどそうだとしても、

「かまわない」
「かまいません」

私と瞬也の声が綺麗に重なった。

それきりもう、蘭子さんがこちらに向き直ることはなかった。

彼女は小さな背中を向けたまま、早口で吐き捨てる。

「わかったわ。もういい、出ていきなさい」
「蘭子さん。俺は──」
「出ていきなさいって言ったでしょう!」

燃え上がる炎のような激しい声に、私たちは思わず肩をすくませる。

けれど瞬也には蘭子さんの態度から何か感じるものがあったのか、促すように私の背中に触れた。

「行こう、美咲」

「でも──」

本当にいいのかという意味を込めて見つめた瞳にも、瞬也は頷いて、

「うん。帰ろう」

「……わかった」

瞬也がそう言うなら、私は彼を信じる。
そう思ったから、私も蘭子さんに背を向け、二人で静かに部屋を出た。

重いドアがばたんと閉まる音が、無機質な廊下に響く。

「さあ、美咲」

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