ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「え? だって柚木くんがお客様の機嫌を損ねるなんて初めてだから……」
そんな切り返しをされると思ってなかった私は、軽くたじろいでしまう。
柚木くんはフッと小さく息を吐いて、
「だから、“らしくない”ですか?」
「そ、そうだよ……」
私はそんなに変なことを言っただろうか。
戸惑う私の耳に飛び込んできたのは、あまりにも意外な言葉。
「別に、ちょっとめんどくさくなっただけです。あの男、かなりウザかったから」
「えっ……!?」
私が今聞いたのは空耳?
空耳でなければ、はっきり言って信じられない。
めんどくさくなった? ウザかった?
まさか寡黙で優秀な柚木くんの口から、そんな発言が飛び出すとは。
「どうしたんですか? 意外ですか?」
表情も変えずに、柚木くんは私に尋ねてくる。
情けないことに困惑していた私は、素直に『うん』と答えてしまった。
すると柚木くんはキーボードから手を離して、
「俺はいつも同じようなこと考えながら接客してますよ。俺にしてみれば、意外でも何でもないです」
「で、でも、いつもは上手く接客してるじゃない。昼間だって、キャッシュの契約とって──」