ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~

「え? だって柚木くんがお客様の機嫌を損ねるなんて初めてだから……」

そんな切り返しをされると思ってなかった私は、軽くたじろいでしまう。
柚木くんはフッと小さく息を吐いて、

「だから、“らしくない”ですか?」
「そ、そうだよ……」

私はそんなに変なことを言っただろうか。
戸惑う私の耳に飛び込んできたのは、あまりにも意外な言葉。

「別に、ちょっとめんどくさくなっただけです。あの男、かなりウザかったから」

「えっ……!?」

私が今聞いたのは空耳?
空耳でなければ、はっきり言って信じられない。

めんどくさくなった? ウザかった?

まさか寡黙で優秀な柚木くんの口から、そんな発言が飛び出すとは。

「どうしたんですか? 意外ですか?」

表情も変えずに、柚木くんは私に尋ねてくる。

情けないことに困惑していた私は、素直に『うん』と答えてしまった。

すると柚木くんはキーボードから手を離して、

「俺はいつも同じようなこと考えながら接客してますよ。俺にしてみれば、意外でも何でもないです」

「で、でも、いつもは上手く接客してるじゃない。昼間だって、キャッシュの契約とって──」
< 18 / 175 >

この作品をシェア

pagetop