ギミック・ラブ ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「ゴメン、大事な同僚の奈々がせっかく飲みに誘ってくれたのに断って悪かった。スライディング土下座で反省してる」
「……つまり?」
「拓巳、急なトラブルで残業らしくて。やっぱ飲み行こ」
素直に伝えると奈々は満足げに笑って、
「最初からそう言いなさいよね。にしても拓巳くんまた? 忙しいのねー」
「向こうも係長だからね。何かとあるんじゃない」
『トラブった』中身までは聞かなかったから、曖昧に笑ってそう答える。
実際、拓巳の予定キャンセルは今回が初めてじゃない。
ここまで急なことは少なくても、前もってのキャンセルは度々あった。
まぁ、お互いもう年季の入った社会人。
特に中間管理職となれば、そういうこともままあるとわかってる。だからどうしようもないことだし、むしろ同情しちゃうけど。
「それじゃどこ行く? こないだのイタリアンとか?」
「んー、それもいいけど、なんか今日は日本酒の気分かも」
「……美咲、年々趣味が渋くなるわねー」
「いいでしょ、ほっといて」
そんな会話をしながら、私達はオフィスを出た。
──私、里中美咲は、決して不遇なOLじゃない、と思う。
27歳独身。結婚相談所《ピュア・スプリング》勤務。
未婚の男女を募り、一対一の見合いをセッティングしたり、パーティーを開催したりして出会いの場を設け、成婚まで導くのが仕事。