ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
でも足音でなんとなくその動きはわかり──何の気無しに耳を傾けてると、足音は私のすぐ右隣で止まった。

気配を感じて顔を上げると同時に、耳に飛び込んでくる無機質な声。

「ジンリッキー」
「……!」

グラスを持っていた指先がひやっとした。

「柚木くん……」

私をチラリと見て、彼は椅子に座る。
マスターが「あれ、知り合い?」と尋ねてきた。

すぐに柚木くんが営業スマイルで「同僚です」と答え、納得したマスターはオーダーのカクテルを作り始める。

当然のように隣でそれを眺めてる柚木くんを、私は信じられないものでも見るように見つめ、

「どうしてここに……?」
「ついて来ました」

柚木くんは眼鏡を外した。そして、あの時と同じように胸ポケットにしまう。

「なんでついて来るのよ……」
「話をしたかったから」
「……私は柚木くんと話したいことなんてない」
「そうですか? でも今日の里中さん、一日中憂鬱そうな顔してましたよ。それで憂さ晴らししたくて飲みに来たんじゃ?」
「……!」

見られてた? そして、気づかれてた?

だけど、だからってどうして……

「昨日、彼氏と何かあったのかなって」
「──!」

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