ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
「……これまでのこと、どういうつもりだったんだろ」

オフィスに二人残ったあの日も、エントランスで会った時も、昨日も。
翻弄されるだけで、拓巳もいるのにまともに取り合う必要はないと、深く考えないようにしていたけれど。

キスをした理由を考えてと言っていた。追いかけてきてまで私を待っていた。

名前で呼び合って……思い起こせば拓巳のマンション前で会ったあたりから、柚木くん、完全に敬語が取れてた気がするし……。

ここまで来るともう、ただの上司と部下には戻れそうもない。

「……いろいろ、ちゃんとしないとダメだよね……」

ほろほろと呟きを落としながら、静かに眠る横顔に指を伸ばした。
頬にかかる黒い髪に、そっと触れようとしたその時──

ピリピリピリピリッ!

突然部屋に鳴り渡った電子音に、私は飛び上がる。

「何、アラーム?」

スマホか時計の電子音っぽいけれど、私には覚えのない音だ。

「ということは……」

目を向けたのとほぼ同時に、柚木くんがむくりと起き上がった。
寝起きとは思えない落ち着き払った顔で、上半身だけを伸ばしてサイドボードに置いてあった彼のバッグを掴む。

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