ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
困惑して問い返すと、柚木くんはしれっとした顔で、

「俺の年の新入社員歓迎会でも、一言一句今と同じこと言ってたよ。俺その時、“もう入社して数年経ってるのに、こんなめでたい先輩がいるんだなぁ”と思ったんだよね」
「めでっ……」

カァッと頬が熱くなる。と、いうことは……。

「答えがわかってるなら、わざわざ聞かないでよっ!!」

何なのよ、一体。やっぱりからかって遊ばれてる?

悔しさに歯噛みするも、時すでに遅し。柚木くんはソファから立ち上がり、リビングを出ていこうとしていた。

「……そのままでいいよ。美咲は、変わらないでいて」
「え? 何か言った?」

ドア付近で小さく呟くので、よく聞き取れない。
 
「なんでもない。先にシャワー使うね。10時から見たいテレビあるから」
「は? 当然のように言ってんじゃないわよ、私の家なんだからね!」

リビングに住んでるからって、チャンネルまで独占させるか。
ちょっとは遠慮しなさい、まったく!

プリプリしてる私を尻目に、柚木くんは足元にじゃれついてきたファズに「怖いおねーさんと待ってて」と言い置いて出ていく。

閉じたドアに向かって、私は思いっきりクッションを投げつけた──。


< 72 / 175 >

この作品をシェア

pagetop