ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
柚木くんもひょいっと首をすくめ、開いたままだった本を閉じるとテーブルに置いた。

「美咲はどうしてこの仕事してるの?」
「え、私?」

思わぬ切り返しだったけれど、その答えはすぐに自分の中から出てくる。

「元々人と話すのが好きだから、営業がしたかったんだけど。この業種を選んだのは、一番人の心に触れる仕事ができると思ったからよ」

「……心に触れる?」

「そう。出会いを求めてああいう所に来るって、本当に迷いや見栄を捨てて、本心をさらけ出さないとできないじゃない。そういう人って、きっとあと一歩の勇気がなくて悩んでるんだと思う。だから、私がそれをお手伝いできればって」

勤務も長くなり、たまに初心を忘れてしまうこともある。
でもそれがこの業種に興味を持ったきっかけだし、入社面接でも胸を張ってこう言った。
チーフになって数字を管理する立場になっても、この基本姿勢は忘れていないつもりだ。

ところがものすごく真面目に答えたのに、あろうことか柚木くんはプッと噴き出した。

「何よっ?」

どんなからかいの言葉を吐くつもりかと、キッと睨みつけたら、

「変わらないんだね、美咲は」

クスクス笑いながら、彼はそんなことを言う。

「え? ど、どういう意味?」

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