ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
音は玄関からだ。鍵を開け、ドアノブを回している。
私の体は、凍ったように動かない。

その間に音の主は靴を脱ぎ、スリッパを鳴らしつつ短い廊下をこちらへと近づいてくる。

静かにドアが開き、コートもマフラーも身に着けたままの柚木くんが入ってきた。

「ただいま」

「えっ!? あ……っ、うん」

情けなくも声が裏返ってしまい、目が泳ぐ私を見て、柚木くんは口元を緩める。

「美咲の家なのに、緊張しててどうするんだよ」
「き、緊張なんてしてないけど……」

条件反射のように強がってしまうけれど、それも無意味だろう。緊張どころか、ずっと自分の中で暴風雨が吹き荒れているようだ。

「……お、遅かったね」

それでもこの胸の内を伝える度胸がなく、口からこぼれるのは、探るようなそんな言葉。まず、盗み聞きしてゴメンと謝らなきゃいけないのに。

「ちょっと飲んできたから。ファズはお利口に寝た?」

柚木くんはマフラーを外しながら寝床で丸くなっているファズに目をやる。

「……あ、うん」

──飲んでたって、あの人と?
それで、別れて帰ってきたの? 夜を過ごさずに。

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