ギミック・ラブ  ~年下小悪魔の上手な飼い方~
疑惑が渦巻く。けれど、それも言葉にはできない。

柚木くんは、脱いだコートとジャケットをバサリとソファの端にかけてから顔を上げた。

「言っとくけど、蘭子さんと飲んでたわけじゃないよ。あの人とは、あの後すぐに別れた」
「えっ……」

今日はまだ眼鏡をかけたままの瞳と、視線が絡み合う。

「俺が、今夜はあの人の所に行くと思ってた?」
「…………」

やっぱり、柚木くんは何もかもお見通しだ。

「……ごめん。ロビーに降りたら、二人が一緒にいるのが見えて……」

ようやく、私は謝罪の言葉を紡ぐ。

「別にいいよ。ていうか、気にも留められなかったらそれはそれでシャクだし」

柚木くんはいつものように慣れた仕草で眼鏡をはずし、近くのローテーブルに置いた。

「だから場所を変えようって言ったんだ。だけど蘭子さんが勢いづいて、あんな所で話し込むから……」

最後の方は独り言のように、声を落として顔をしかめる。

柚木くんは他の女性との過去も、あっけらかんとした顔で話してきた。あの人とのことも、聞けば教えてくれるんだろうか。

「あの人──ホワイト・マリッジの社長と、どういう関係なの?」

< 86 / 175 >

この作品をシェア

pagetop