聖女らしいですが、皇太子殿下と結婚とか無理ですから!



 聖女の生まれ変わりが王女で、皇太子の生まれ変わりが俺だということに、一番先に気づいていたのはブレアだった。なのに自覚のない俺に教えても意味がないと、かなり前から俺以外の家族に相談していたという。
 王都に行き、どういう伝手なのか王女と話す機会を得た長姉は、そこで王女自身に前世の記憶があることを知った。逆に王女は、長姉の兄弟に皇太子の生まれ変わりがいることを察知したという。

 なのに、なぜこんないたずらを仕掛けることに王女たちが協力することになったかと言えば、もし俺が思い出さなかったら、何事もなかったように帰るつもりでいたからだという。国王陛下も承知のことだと。

 それを聞いて、俺の胸が切り裂かれたみたいに痛んだ。

 やっと会えた彼女と離れるなんて考えられなかった。
 今まで彼女なしでどうやって生きてきたのか分からないほど、激流のような想いがあふれ出す。

「ロクサーナ……いえ、エメリー殿下」

 のどがカラカラになる俺に、彼女は「エメリーと呼んで」と微笑む。こんなに綺麗な女の子が、どうして男に見えてたんだ。

 過去の自分と今の自分が入り混じる。楽しそうに見守る家族の前で勢い余って求婚しそうになるも、エメリーの伸ばした人差し指で唇をそっと抑えられた。

「まずはドレスを着替えましょう。話はそれからね?」

 その瞬間、まだドレス姿だったことを思い出した俺は地面深く潜りたくなるも、優しいエメリーに励まされ、どうにか仕切りなおす気力を得た。



 ――可愛くて愛おしい第三王女が天女の里の一員となるのは、それから少し先の話。

fin



☆おまけのその後

姉たち「ねえ、本当にあの弟でいいわけ?(王都には美男子があふれるほどいたわよ?)」

エメリー「もちろん。昔もとぼけたところはあったけど、今はそれに可愛さが足されてたまらないわ(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)テレッ」

姉たち
(たしかに可愛いけどね)
(遊びがいはあるわよね)
(このコ、ノリよくいたずらに付き合ってくれただけあるわ)
(あの子が王女様の前で、精一杯かっこつけてる姿は微笑ましいわね)
(ま、なんだかんだでこの子も可愛いわ。さすが弟の嫁)

姉一同「わたしたち、あなたと姉妹になれてうれしいわ(にっこり)」
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