愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
タオルケットから顔を出した菜穂は、おろしてというように腕をバタつかせる。
「運んでやってるだろ」
「だから…」
あっという間にダイニングについてしまい、諦めたようだ。
「えっ、蓮が作ってくれたの?嬉しい。このパンも?」
テーブルにある朝食に、感動してくれる。
「近くのパン屋でさっき買ってきた」
「私も行きたい。今度一緒に行こう」
何気ない一言だろうが、口元が緩む。
「そうだな。一緒に行こう」
タオルケットに包まれた菜穂は、まるでおくるみに包まれた赤ん坊のようだ。
「蓮は仕事?」
「あぁ」
「そうなんだ」
「菜穂は?」
「夕方からバイト」
「すれ違うな。まぁ、動けるまでゆっくりしていろ」
「…」
菜穂は、タオルケットをまた頭から被ってしまう。
「どうした?」
「…蓮が引っ越ししたのは、私と一緒にいたいからだったりする?」
「…どうだろうな?その小さな頭で考えてみろよ」
「いじわる」
「ほら、スペアだ」
菜穂の手に握らせる。
「ありがとう」
「洗面の横にひと通り出してあるから使えばいい。じゃあ、行ってくるな」
菜穂の頬にキスをして、仕事へ向かう。
近いうちに、菜穂との同棲がスタートする未来が見えて、俺は、密かに笑った。