愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく
そして電話の向こうから蓮の楽しそうに笑う声が聞こえている。
『詳しい内容は、後で送る。菜穂、うちを選んでくれてありがとう』
その声はどこか甘く、優しい口調で、ドキドキとさせられた。
菜穂って、初めて呼ばれた。
「…うん、こちらこそありがとう…じゃあ…またね」
『…あぁ…またな…』
お互い、なかなか電話を切れないでいたが、電話の向こうから蓮を呼ぶ声で、お互い、切ることができた。
頬をつきニヤニヤする麗華。
「なに?」
「べつに…それより、お願いしてよかったでしょ」
「うん。後押しありがとうございます」
「気にしないで。私達の中だもの。それにこれからも長い付き合いになるだろうし、ね⁈』
「結婚しても連絡取り合って行こうね」
麗華の深い意味など、その時の私は理解できず、ただ、友人関係が長く続くことだと思うのだ。
その日の夜には、もう、蓮からの連絡があり、
紹介された店舗は割と大学から近いようで、悩む余地もなく、すぐに働きたいと伝える。
オープニング前からスタッフとして働くことになり、出店準備に駆り出され、忙しい日々を過ごしていた。
梅雨が終わる頃、数ヶ月ぶりに遼からの連絡があり、彼の存在を忘れているほどバイトに夢中になっていたらしい。