愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

『ありがとう』

『いや、お前を呼ぶべきじゃなかった。悪かったな』

『気にしないで。遼らしくなかったけど、明日には戻っていると思う』

あんな事をされても、まだ、奴の肩を持つのか⁈

『なぁ…お前の目が曇ってるんじゃないか?あいつを過大評価し過ぎだ』

怒り顔で頬を叩いてきた。が、その腕を掴んで体を抱き込んだ。

『目を覚ませ』

『目を覚ますのはあんたでしょ。反対側も叩いてあげようか?』

腕の中で暴れる彼女は、俺のつま先を踏みつけていく。

『この、じゃじゃ馬め。…わかった、悪かったよ。暴れるな』

『暴れさせているのは誰よ』

今にも泣きそうな顔に、髪が乱れてかかっていた。

『落ち着け』

『落ち着いてるわよ』

『そんな顔するな。怒らせたかったわけじゃない。ただ、見えているものが全てじゃないってことだけは覚えておけ』

乱れた髪を直してから、手の焼ける彼女のおでこを小突いた。

それを指先で払い直して、彼女の顔を見つめる。

『なぁ、卒業したら、お前に会えなくなるな』

『そうね』

寂しいと思うのは俺だけなのだ。

『よこせ』

手のひらを出し、スマホを寄越せと指先を動かすが、伝わらないようだ。

『なに?』

『スマホだよ』
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