愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

これは、なんなんだろう?

もう一度、今度は小さく手を振り門の奥へ入っていくと、しばらくして、車のドアが閉まる音と発車していく音が聞こえ、蓮が帰っていったのだと、足を進め玄関ドアを開けた。

家の中は真っ暗で、誰にも会わずに部屋に戻り、鏡に映る自分の顔に、苦笑していた。

酷い顔だ。

メイクが剥がれ、真っ赤な目に、赤くなっている鼻先。

こんな顔でいたのに、蓮は、表情に出さず、何も言わずにいてくれたのだと、彼の優しさに目が潤んだ。

首元で光るネックレスは、遼からのプレゼント。

気に入っていたけど、これはもう、つけることはないだろうとケースにしまい、添えられていたメッセージカードを指でなぞる。

(お誕生日おめでとう Rより)

あんなクズに恋した愚かな自分。誕生日も記念日も覚えていない男が、気まぐれでくれたプレゼントが惜しいのかは自分でもわからない。

ただ、わかるのは、祝いの言葉を添えたメッセージカードをくれた彼はもういないのだ。

そっと、引き出しの奥へ追いやった。

気持ちを切り替えるように、ふーと息を吐き、蓮からのプレゼントを開ける。

つい先程まで見ていた某ブランドと同じ。その中は、一粒ダイヤモンドのスタッドピアスだった。
< 76 / 146 >

この作品をシェア

pagetop