愛が壊れた時、策略御曹司の罠に堕ちていく

「瞼が少し腫れてるな。冷やさなかったのか?」

冷たい缶を瞼にあててくる。

「きゃっ、冷たい」

「冷やしてやってるんだ。文句言うな」

「他のスタッフに見られるから、ねっ」

やめてと言ったつもりだったのに、逆に、片手で腰を抱き込んできた蓮と顔が近づく。

「ほら、自分で冷やしてろ」

渋々、言われるまま瞼を缶で冷やしている間、蓮は、私の髪を耳にかけてピアスごと耳朶をなぞっていた。

ドキドキして、瞼どころではなく耳朶に意識が持っていかれる。

「…写真で見るより似合ってる」

「…うん、私もそう思う。蓮も、そのネクタイ使ってくれてるんだね。でも上手に結べたね。何回目で結べたの?」

緊張を解く為に蓮を揶揄うと、切れ長の目を開いて笑い、鼻先を小突いていく。

「本気になれば一回でできる」

「へー、そうなんだ」

嘘と思いながら、ニコリと笑って返した。

「信じてないな」

「信じてるよ」

苦労して結ぶ姿を想像したら、クスクスと笑っていた。

「元気ならいい。そうやって笑ってろ」

どうやら、蓮なりの励ましらしい。

「大丈夫だよ。今は、正社員目指して頑張るから、心配しないで」

なぜか、むすっとする蓮。
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