神の愛
「それで学、結果は出たのか」

 十分後、学が社会福祉課のブースから子ども課のブースに姿を現す。そして、子ども課保有らしい相談室に俺を呼ぶ。

何か、俺の今の姿、問題のある親みたいに思われそうだ。

 恵は事情を知っている子ども課職員が一時的に面倒を見てくれるようだったので任せることにする。俺は学と相談室に入る。

「ん~、一旦は。該当乳児はおらんって結果は出たな」
「は?」

 座りながら尋ねれば、学から返ってきたのはそんな返答。半日しか経ってないからまだ全員調査しきってないんだろ、多分。きっと。絶対。

 そうじゃなければ恵は無戸籍児になるぞ、おい。

「見たところ4~6か月くらいやから、4~6か月前に市内で生まれた乳児を調べはした」
「だよな」
「そんなかで親がお前に関係する人間もしくは育児放棄する可能性がある人間、昨日の夜に子どもを連れ出し、その後子どもの行方が不明な親を調べたが、どれも該当者はおらず。つまり、今のところ、その子は無戸籍児になるってわけやな」

 俺と同じくイスに座りながら学は言葉を続ける。俺の辿り着いた結論とほぼほぼ同じような結果しか語られない。

 テーブルと平面に身体を伸ばしながら話すその姿は市役所職員には見えない。絶対に仕事から離れる時間ができて良かったとか思ってんな、こいつ。

「一応、さっき、この子の名前は分かったけど」

 へぇ、と目の前に座る、だらけきった市役所職員の口から変な声が聞こえる。テーブルに突っ伏しているから、変な声が出るんだろ。

 さっさと体勢を直せと思いながら学を睨み付ければ、彼はのほほんとした顔で指の数を数えていた。

「恵、って言うらしい。あと男だった」
「恵って恵くんの名前の1文字使われてるやん。やっぱり、恵くんの子やない?」
「んなわけねぇだろうが! つーか、それなら同居しているあんたらが気付かないのはおかしいだろ!!」
「ま、そりゃそうか」

 同居している家族に子どもがいることがバレないわけがない。そうであるならば、恵は俺の子どもじゃない。

 というか、小学校時代から今の家族と一緒に生活しているんだから、子どもができたりしたらバレるだろ。彼女できた瞬間にいつの間にか、バレるような家族なんだから。

 俺の言葉に納得する学の反応に反射的に頭を押さえる。本当にどうして、この人、市役所職員採用試験に受かったんだ。
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