神の愛
「一つ聞いておくが、本当にお前の子どもや弟ではないんだな。恵介」
「・・・・・・沼東の方で子作りした記憶はねぇ。弟は俺の記憶にある限りは知らねぇよ」
「記憶にある限りは、な」
「お生憎様、知っての通り、俺はあそこ燃やした後にあの家から勘当されたんでね。その後は知らねぇよ。父さんがやってる可能性はなくもねぇ」
親父のお猪口に日本酒を注げば、親父は俺のコップにコーラを注ぐ。
隣で学が恵をあやそうとして、高い高いをしている声が聞こえる。その直後、恵の泣き声と叔父さんがそんな学を叱りつける声が聞こえてくる。
珍しい、声を荒らげない叔父さんが怒ってる。
心配はないなと思いながら、チラリと三人の様子を横目で確認する。恵は大泣きしているが、大の大人二人がかりで対応しているから、何とかはなるだろ。恵も思ったより、普通に泣くし笑うのでちょっと安心した。
「実家もイカれた実家だ。八歳の息子を婿入りさせる家は狂ってる。だからこそ、その可能性も頭に入れておけ」
「少なくとも俺の知る限りではこんな外国容姿の奴らはあそこにはいなかったよ」
「お前の記憶の限りでは、だろうが」
視線を親父に戻せば、親父は眼を潜めながら俺の顔を見ていた。眼の奥に俺を心配している気持ちがあるのが分かる。口下手なだけで家族思いな人だな、と頭の片隅で考える。