恋とは、一体どんなもの?

Prolog


私は昔から、人よりほんのちょっぴり運が悪い。

買ったばかりの傘は次々と盗まれちゃうし、自販機のお釣りが出ないことも多いし、コンビニで並んだ列だけが目詰まりを起こしたように進まないし、院生室のコピー機を三回もフリーズさせてしばらく出禁になっちゃうし。

そういう笑い話という名のオブラートに包んで消化できる程度の、ほんのちっぽけな不幸が、私の人生にはうっすらと常にまとわりついている。

「わたし、不幸に適応する才能があるんだよね」

へらりと頼りなく笑う私に、友人の凪智(なち)は「適応するな」と、真剣に突っ込んでくれる。けれど私は、諦めることによって自分を維持していると言っても過言では無い。

あきらめ癖と呼べる私の根っこ……そう、最初の不幸は六歳の時にあった。

突然の両親の離婚と、それに伴う引越し。

あの日、住み慣れた家が遠ざかっていくのを見ながら、子供ながらに悟ってしまったのだ。

──私が大好きなものは、いつだって私を置いていってしまう。私の両手は、大切なものを引き留めておけるほど強くはできていないのだ、と。


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