ふたつの時を、重ねていく【『ふたつの弧が、重なるとき』番外編/不定期更新中】
 ボールが弾む音、コートでシューズが激しく擦れる摩擦音。
 ゴールが決まるたびにピーッと鳴り響くホイッスル。
 そして、会場を包み込む観客の歓声と熱気。

 バスケットボールは、目まぐるしく変わる試合展開の速さに、観ているこちらの気持ちまで忙しくなるが、それが楽しくてしょうがない。

 年明け。帰省から東京へ戻ってきた私たちスポーツ観戦サークルは、Bリーグの試合を観に来ていた。
 試合を観るのは今日が二度目。先月、高校時代にバスケ部だった彼氏に初めて連れてきてもらって以来だ。

(あれは、最高のデートだったな〜!)

 普段はサッカーが大好きな私だけれど、ハマってしまいそうだ。


「キャーッ!! 私の推しの七番、カッコいいっ!!」

 前のめりになって黄色い声を上げ、バタバタと手を振った。
 推し気質の性格のせいか、すぐに好みのプレーをする選手を見つけて、必死で目で追って応援してしまう。

 前の席では、美絵と祥太郎くんが肩を並べて座っている。
 いつもなら私が彼女の隣をキープするのだけれど、今日は特別だ。
 二つのバイトを掛け持ちしている彼がサークルに参加できるのはレアだから、「しょうがない。美絵の隣、今日は祥太郎くんに譲ってあげるっ!」と、得意げにセッティングしたのだ。

 色々な音が混ざり合うアリーナの中。
 美絵は、ルールでわからないことが出てくると、祥太郎くんに少し身を寄せる。
 昔バスケをやっていたお姉さんに知識を叩き込まれたという彼は、その都度丁寧に解説してあげている。
 それにニコニコと頷く美絵は、見ているこちらまで嬉しくなるほど可愛い。
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